院長挨拶
よしか病院は、2024年3月1日に誕生した新しい病院です。それまで吉賀町の医療を支えてきた六日市病院は、24時間365日の救急対応など急性期や救急にも対応した病院でした。
しかしながら、そのような医療を継続することが、当地のような中山間地域では困難となり、よしか病院に引き継がれることになりました。
私たちよしか病院は、誕生に際し、地域で必要とされる病院になるべく、
・住み慣れた地域で子供も大人もずっと住み続けるために必要な医療の提供
・最期までその人らしく生きられるために必要な医療の提供
・持続可能な医療の提供
を目標に掲げました。
そのために、総合診療を軸とし、必要な医療・介護・福祉をつなぐ病院(コミュニティホスピタル)としての役割を果たそうと考えています。
その実現のためには、地域の方とともに吉賀町の医療を考えていく必要があるとの思いで、開院前に町内5か所で開催された住民説明会や、2024年5月の吉賀町の地域と医療をつなぐ会主催のシンポジウム、12月のよしか病院活動報告会で、私たちの目指す地域医療についてお伝えしてきました。
さらに、3月20日には開院1周年を記念した町主催のイベントで、当院の診療の軸となる総合診療について多くの方と意見をかわすことができました。
今、私たちは病院内にとどまらないこのような活動を通じて、吉賀町や地域の方とともに病院を作り上げているということを実感しています。今後も、積極的にそのような場を活用し、皆様の地域医療や当院への思いを知り、それをもとに当院の医療を発展させていくべく努力を怠らない所存です。
よしか病院は「教育」にも力を入れていきます。
ここでの「教育」とは、現代の医療に欠かせないチーム医療・ケアを担う多くのスタッフに対する教育だけでなく、地域の方と一緒に医療や介護の問題を考え解決していくための「教育」も含んでいます。そのために地域で開かれるサロンという集まりで健康出前講座を開始しました。また、その場では必ずACPについて言及し、地域全体で取り組んでいく機運を高めています。
当然、そのような活動の主体は地域であり、地域のニーズにこたえる形で私たちは医療介護の専門職として一緒に活動していきたいと考えます。そして、地域の方と接することで、私たち自身も成長できると信じています。
さらに「教育」には地域の子供たちへのかかわりも含まれています。吉賀町出身の当院医師が小中学校で自身の体験や思いを話したり、夏休みに病院探検という形で子供たちに病院と医療介護の場の雰囲気を体験してもらったり、地元の高校生や看護学生にアルバイトとして関わってもらうなどの活動も行っています。今後は、ボランティアとしても関わってもらうことも考えています。
そのような体験を通じ、医療や介護に興味を持ってもらえれば大変うれしいことと感じています。同時に、職員にもよい刺激となっており、それがさらに職員の意欲の向上にもつながっています。
このようによしか病院は、地域の方々と共に歩み、「よしか病院があるから安心」という病院となるべく成長し続けていきます。
今後とも皆さまの温かいご支援とご協力を賜りますようお願い申し上げます。
2025年4月1日

よしか病院
院長 安 浩義